YamaRan's: お伊勢参りの巻:02 お伊勢参りの巻

内宮(正式名称は皇大神宮)まではバスで15分くらい。るえこに恵んでもらったパラソルチョコをかじっているうちに着いた。外宮- 内宮の間も予想より近かったが、その割に片道420円は高い。

有名な五十鈴川にかかる宇治橋のふもとまで来るとすごい人ごみだった。週末なのは分かるが、外宮はそんなに混雑していなかったのに。もうこれだけで十分疲れてきたが、思いきって合流する。もう老人ばっかり!家族連れやカップルも見かけたが、7〜8割は年寄り。皆団体らしく、あちこちで添乗員と思しき女性が小旗を掲げている。お庭部分(神苑というらしい)ではなんとなく去年花見に行った浜離宮を思い出した。まあこんなには混んでなかったけど。それに国旗も掲揚されてなかった。しばし国粋主義者気分を味わう。

手水舎はえらい事になっていた。バーゲンでもやってるのか、という様な押し合いへし合い。みんな平気で柄杓に口をつけている。「正しいお清めの仕方」云々以前に、どこの誰が口をつけたか分からないような柄杓で、よくまあそんな事ができるものだ。みな我先にと押し分けてくるので、私たちは適当にすませて(というか押し出されて)引き上げる。

「これがこれから神社にお参りしようっていう人たちなんだから、呆れるよ」「年寄りがこんなことじゃ、若い人の事とやかく言う資格ないね」「こんな人たちが現代の日本を築いて来たのかと思うと恥ずかしいよ!」とさんざん悪態をつきながら五十鈴川の岸(御手洗場というらしい)に出ると、ここも人でいっぱい。いくら清流と言われても、これでは口に入れる気はしない。とりあえず手だけ洗っておく。しかしいい景色だ。夏にここで足を冷やしながらぼんやりしたら、気持ちいいだろうなあ。

また人込みに引き返すのはうんざりなので、少し遠回りだが川寄りの細い道を歩く事にする。こちらはいくぶん静かだし、木立のすぐ下を歩く事が出来る。が、落ち着いた雰囲気もそこそこに、しばらく行くと本道と合流。カップルで伊勢参りというのがちょっと意外な感じだ、とるえこに話すと「地元では”伊勢神宮に行くと別れる”って言われてるんだよね。”井の頭公園でボートに乗ると別れる”みたいな感じで。」と言う。天照皇大神がヤキモチを焼くかららしい(笑)。
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ぽんつ(左)とるえこ。風日祈宮御橋(かざひのみのみやみはし)の前で。

「人がいなかったら清々しくて気持ちのいい所だろうなぁ」とぶらぶら行くと正殿が見えて来た。こちらは階段の上に入り口がある。だいたい外宮と同じ様な感じだ。社殿の様式などは本で読んだが、実物は囲いもあるし、遠くてよく見えない。ちょっと残念。

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るえこ(左)とYamaRan。上の写真と同じ所で、振り返った様子。背後に混雑した参道が見えます。著作権保持者・ ぽんつ。

お参りした後は、古殿地(前のお宮が建っていた所=次回の式年遷宮でお宮が建つ所)の周りを歩いて戻る。玉砂利が敷き詰められたところに小さな小屋がぽつんと建っていてかわいらしい。この小屋は覆屋(おおいや)といって、心の御柱(しんのみはしら)が納められているそうだ。次回の式年遷宮までの間とはいえ、神社の中で最も重要なものがこんなところに入っているとは誰も思うまい。
クリックで拡大:ここが古殿地。

古殿地ごしに正殿がよく見えた。まあこういうものは勿体ぶってそう簡単には見せませんよ、というのもありがたさの一部なんだろう。中年男性のグループがカメラ付き携帯で一生懸命正殿を撮影している様は、和気あいあいとしていたが、ちょっとかっこ悪かった。 その後は道なりに歩いて、別宮・荒祭宮(あらまつりのみや)にお参り。そういえばなぜか古殿地から先は人が少なかった。順路にそって歩いていたつもりだが、なんでだろう。

しかし駅からすこしバスに乗っただけなのに、境内は別世界のようだ。「太古の自然を維持するようにつとめている」とどこかで読んだが、本当にそんな感じだ。太くてまっすぐな木がそこここにみられる。信州・諏訪神社に、大木を山の斜面にそって落とす御柱祭というのがあって、毎年ニュースで「けが人が何人」などと報道されているが、私はかねがね「なんであんな危険なことを」と思っていた。しかしお伊勢さんの森林の中を歩いてみて、なんとなく”巨木のパワー”みたいなものを感じ、信州の山育ちの人たちが大木のお祭りをする気持ちもちょっと分かった様な気がした。

また道にそって行くと、行きに歩いた混み合った道に出た。現実の世界に戻って来たみたいだ。途中ですれ違った係員さんの作業着の胸にさり気なく「神宮」と刺繍がしてあったのはイカシていた(笑)。しかし伊勢神宮の正式名称がただの「神宮」だというのもかなりかっこいい。”明治”だの”橿原”だの説明無用!神宮といえば伊勢に決まってらぁ!ってことでしょう?潔いねえ!

どんぐりを拾ったり、木の幹に生えているコケを眺めたり、鯉にエサをやっている人を見たりしつつぶらぶら。参集殿という所についた。この名前は後で調べて分かったもので、まあ要するに休憩所だ。喫煙コーナーでるえこがニコチンを摂取している間、私とぽんつは売店をのぞいたり奉納相撲のビデオを見たり。「表札受け付けます」というのはお寺ではあまり見ないサービスだ。そう思っている目の前でさっそくおばさんが注文していた。ふーん。

あとは来た道を引き返すだけ。また宇治橋を渡ると、おはらい町に突入。るえこは職場の同僚から、いろいろとお土産を指定されているので、各店のチェックに余念がない。私はとりあえず、名物・伊勢うどんというのを賞味希望。ここもまた人が多い。そういえば外国人観光客を見ないなあ、と思っていたら、ここに来て韓国人と思しきグループを何組か見かけた。靖国問題でいろいろあるけど、いいのだろうか。まあ中には気にしない人もいるのは分かるが・・・まあ「それはそれ、これはこれ」という事か。


これが赤太郎だ!
各種さつま揚げ(中でもチーズ棒というのがポピュラーらしい)、手焼きせんべい、甘酒、おからドーナツなど、誘惑の多い所だった。お土産業界の大ヒット作という”ご当地キティちゃん”もあったが、伊勢海老のかぶりものが気持ち悪い。これでいいのか?!カワイイのか!?かなり疑問だ。赤福のキャラクター・赤太郎は気に入った。地元ではTVCMも放送されているそうだ。るえこがCMソングを歌ってくれたけどもう忘れた。

この通り沿いに、おかげ横町という観光客向けに時代がかった町並みをテーマパーク的に再現した一角がある。いいかげんお腹が空いたので昼食にする。伊勢うどんだ。太い麺に真っ黒い出汁がかかっているだけだが、見た目ほど濃い味ではなかった。とりあえず消化には良さそう。その後もぶらぶらして、コロッケを食べたり、お土産を買ったり。「じゃあそろそろ帰ろうか」と、表通りに出ると、行きはあんなに賑わっていたのに、人通りも少なく、出店も激減していて驚いた。夕方というにまだ早いくらいの時間だというのに。やはりそれだけ団体客が多い、ということだろうか。

バスで伊勢市駅前まで戻る。旅館はそこから歩いて10分ほどという事だったが、風が強くてとても遠く感じた。旅館での事は細かくは書くまい。まあ、ちょっと気になる様なことがいろいろあった。それでも私は「仕方がないか」と気にしないようにして、早めに寝た。

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