YamaRan's: お伊勢参りの巻:01 お伊勢参りの巻

朝8時台の新幹線に乗ってまず名古屋へ。通路をはさんで反対側の席に座っていたおばあさんが、”のどスプレー”のノズルとキャップについたスプレー液をなめているのを目撃してしまい、気分が悪くなった。早起きしたおかげで眠ってしまい、あっという間に到着。名古屋で近鉄線に乗り換え。

近鉄四日市駅から同じ電車に乗って来る予定のるえこに連絡を入れて、昼食用にお弁当を買って賢島行き特急に乗り込む。車内ではおばちゃんパワーが炸裂していた。完全に自分達だけの世界を構築している。黙ると死ぬタイプか?これから1時間以上あるので、耐えられるか心配。お弁当は柿の葉寿司。葉の巻きがあまいせいか、ごはんが固くなっていたが、「名古屋で柿の葉寿司」という選択自体が邪道だったと思い、気にしない事にする。

お弁当も食べ終わって、いいかげん退屈して来た時分に四日市に着いた。るえこと合流。座席は指定だが、別々に切符をかったので席はバラバラだった。彼女が持って来た「神社の見方」的な本を借りて読む。鳥居のバリエーションにちょっと感動。足が3本の鳥居!是非観てみたいものだ。正しいお参りの仕方もチェック。私たちの斜め前の座席の若い女性2人組も「週間神社紀行・伊勢神宮」や「サライ(伊勢神宮特集)」などを読んでいた。

「一度は参りたいお伊勢さん」特集、私も読みました。
お母さん、貸してくれてありがとう。

昼ごろに伊勢市駅着。降りる早々るえこ「なんであんなにウルサく出来るんだ!」。まったくだ。私たちは姉妹で並んだ席が取れたので、多少は気がまぎれたが、読書家のるえこは少し離れた席で「本も読めやしない!」。

さっそく外宮(正式には豊受大神宮)へ向かう。近鉄伊勢市駅に隣接しているJR伊勢市駅側にでて、緑の茂っている方面に適当に歩き出す。「お伊勢さんの道」みたいなことが書かれた標識が立っていた。道は間違っていなかった。まあ、間違い様もないけど。

大きな鳥居の下で、さっそく写真撮影を頼まれる。私が観光地に行くと、かなりの確率で「シャッター押してもらえますか?」と言われる。熊本に行った時も秩父に行った時も、ロンドンでもブリュッセルでもバルセロナでも頼まれた。私ってそんなに暇そうに見えるのだろうか?世界的に?

見ず知らずの家族写真を撮ってから、正殿へと続く並木道を歩く。春や初夏の頃ならさぞ爽やかだろうと思うが、この日は風が強く、ちょっと寒い。すぐに正殿についた。あっけないくらい近い。また大きな鳥居があって、その中にさい銭箱等が設えてあり、さらにその奥に正殿がみえる。一般の人が入れるのはさい銭箱エリアまでで、その先にすすむためにはお酒やら大金やらを寄進しなければならない様だ。水干姿の神職さんが受付をしていて、お祓いをしてもらってから囲いの中へ入って行く。いいなー。私も入ってみたーい。

さい銭箱エリアから出る時に気が着いたが、鳥居の前についたて状の壁が建っていた。ちょうど沖縄の伝統的家屋の入口のような感じ。やっぱり魔よけの様な意味合いがあるのだろうか?

あとで伊勢神宮HPで調べてみたところ、ついたて状のものは蕃塀(ばんぺい)というらしい。さい銭箱エリアは板垣南御門と外玉垣(とのたまがき)南御門の間で、神職が待機しているところは宿衛屋(しゅくえいや)という名前。囲いの中に入ってお参りするのは「特別参拝」といって、外玉垣と内玉垣の間の「中重(なかのえ)」という所まで入れるそうだ。岩戸屋HPによると、初穂料として最低15,000円が必要。これなら私でも入れない事もない。まあ信仰心からではなく、単なる好奇心だけど。

私たちはそれぞれ5円や10円分のささやかなお願いごとをして、板垣南御門を出た。つまり、入って来たのと同じところから出た。少し引き返したところで脇にそれて、別宮にも行ってみる。

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るえこ(左)とYamaRan。
多賀宮へ至る石段にて。
著作権保持者・ぽんつ。
「神宮は神宮司庁の管轄下にあるということは、宮司さんたちは公務員か?」とか「水干はかなりかっこいい」とか話ながら、池に掛けられた橋を渡ると、右に土宮、左に風宮。その間の階段を上がって行くと多賀宮。地図等でみると広大な敷地のように感じられたが、参拝客が入れる部分は限られているし、各お宮が近い事もあって、予想以上に気軽にお参りが出来る。正殿と比べると別宮は更にシンプルなつくりで、いかにも自然派志向の日本の神様たちが好みそう。周囲の緑と相まって、すごくリラックス出来る雰囲気だ。建築史家・藤森照信氏の「野蛮ギャルド建築」の源流とはこういう建物じゃないか、なんて事をチラッと考えた。

すがすがしい気分で参道を歩いていると、先頭に旭日旗を掲げた老人集団がなだれ込んで来た。”東の靖国・西の伊勢”か。そう言えば「ヤ」のつく自由業を思わせるいでたちの男の人たちがグループでお参りしていた。なんだかせっかくの穏やかな気持ちも吹き飛んでしまった。

行きに家族写真を撮ってあげた大鳥居の前で、また他人の記念撮影をして、通りの向こう側にあるバス停へ向かう。信号待ちをしていたら、通りすがりのおばさんに「ズボンのすそを折り返すといい防寒になるでしょう。考えたわねー!私も今度やってみるわ」と声を掛けられた。全く唐突に。生まれて始めてズボンの折り返しをほめられた。

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