英国「Select」誌・1994年7月号より。
文章・Alex Kadis
写真・Neil Cooper

DAMON ALBARN AND GRAHAM COXON OF BLUR

親友が同じバンドにいるって?悲しい?Grahamは13年前、コルチェスターのStanway Comprehensive Schoolで、Damonと出会った。

「僕らがどこで出会ったか覚えてないんだ。物覚えが悪くって。でもGrahamはきっと覚えてるよ。」

Damon Albarnは、そばで頷くGraham Coxonの方を向いた。

「music blockのそばでportakabinを練習してる音楽室のとなりだった。でも最初に僕が気付いたのは、彼が学校の集会で「West Side Story」の「Please Officer Krupke」を歌ってる時だった。なんて外向的な奴だ、って思ったよ。僕はすごくshyだから、まったく僕とは正反対。その時彼はska lotがみんな履いてる靴を履いてたんだ。僕はすごくそれが欲しかったんだけど、余裕がなかったから似たのを履いてたんだ。そしたら彼が僕の所にやって来て、「そりゃゴミ靴だ、見ろよ、これが本物だ。」って言ったんだ。そして何となく髪を右にやって歩いて行ったんだ! 神様、ありがとうって思ったよ。まさかこんなattitudeに溢れた人に出会うとは思わなかったね。」

彼等はまずDamonが音楽のHildreth先生の指導で書いた歌の話をした。

「その頃、」Damonは回想する「Grahamはサックスとドラムをやってて、僕はバイオリンとピアノをやってた。僕はこの曲をサックスを必要として書いたから、僕らは友達の家に行って…」

「Michael Morrisの家だ。」Grahamがつけ加える。

それ以来、彼らは学校の変り者である事に気が付いた。その自覚はSecret Sevenスタイルの関係を築くのを促した。

「Grahamの家は校庭の裏にあって、僕らはいつも、実際、昼食の時間ごとにそこに行ってたよ。」Damonは言う。

「僕らはよくビスケットを山ほど食べて、お茶を飲んで、ビデオを観た。」Grahamが付け加える。「少し大きくなってからは、僕らは金曜の放課後にDamonの家に言ったな。彼のお母さんが僕のartを手伝ってくれたんだ。」(Damonの両親はartistで、彼のお父さんは地元のart schoolを経営していた。)

Damonはクラシック音楽を好み、俳優になりたかった。しかしGrahamはThe Jamが好きだった。「Grahamはベッド・ルームを持ってたんだけど、ドラム・セットが置いてあって、ポスターは全部The Jam。」

GrahamはDamonの部屋をより現実的に思い起こす。「洋服だんすがあって、積んである物が少しあって、だいたいがグレーに塗ってあった。ポスターはナシ。」

Damon「化石をたくさん持ってた。キツネの剥製も持ってた。僕はとても熱心な化石ハンターであり、バード・ウォッチャーだったな…」

Graham「ああ。僕にとってはコインのもう片面だった。そこに行ってはあれこれ探って、興味のあるものを見つけるんだ。僕の部屋とは全然違ったからね。」

エセックス中部での子供時代はとても保護されていた。ドラッグなし。未成年の飲酒もなし。Grahamは18才になるまで、煙草も吸わなかった。「僕らも人の家で開かれたパーティーに行って、ラガーをいっぱい飲んでちょっと酔っ払った事はあったけど、その程度だよ。僕らはすごくイノセントなcountry lifeを過ごした。」とGrahamは言う。彼はDamonの方に体を乗り出して、静かなトーンで聞いた。「ワインの話してもいいかな?」

「え?あぁ、いいよ。」

Graham「これがホントにいい話なんだよ、まるでEnid Blightonだね。Damonの家の裏の河べりを歩いたんだ。ある日彼が素敵なねじ曲がった木のある所に連れて行ってくれた。彼はワインを2本持ってて、それにヒモをつけて木の根っこに結び付けて水の中にぶらさげてたんだ。それを1本引き上げて、僕らはその辺に座ってそれを飲んだ。僕らが一緒に酔っ払ったのは、それが最初だった。」

彼いわく、それ以後Damonは大声で騒ぎまくる、ケンカを呼ぶ男になった。「最後はいつもケンカになるから、彼と街のパブに行くのをあきらめたんだ。」「Britesの事、覚えてるか?」Damonを肘で突ついた。「Britesは80年代初頭のパブの一つ。」

「そう。僕らはそこに行ってHolsten Pilsを3、4杯飲んで酔っ払っちゃったんだ。Damonはいつも人を睨むんだよ。ある時店に男がやって来て、ちょっとヤバい感じになったんだ。そいつがDamonに向かって"今すぐお前の頭に蹴り入れてやる"って言うんだよ。そしたらDamonはゆっくりと彼を褒めちぎって、皮肉たっぷりに"へぇ、すごくタフなんだな"って言ったんだ。そしたらそいつ、バン!って彼をテーブルの上にブッ飛ばしたんだ。そんな事がしょっちゅうだったよ。」

「こういう事態になるとGrahamはいつも姿を消すんだ。僕がトイレで変な奴にhead-buttかけられそうになって周りを見ても、どこにもいないんだよ! 初めて会ったときはお前は臆病だった。でも今、酒を飲んだお前は昔の僕と同じくらい他人迷惑だな。誰からも蹴りを食らってないなんて、Grahamはすごくラッキーだよ。」
「僕らは飲むと人が変わるんだ。」


 

Grahamの飲酒は目下の問題だ。写真撮影のためにポーズをとりながら、Grahamは小道具のビールを飲む事に夢中だった。Damonは彼を叱りっぱなしだった。

「Graham! ビール飲むのやめろよ。お茶取って来い、ほら。」数分後、ポーズの合間に、Grahamは顔にかかるようにGrolschのボトルを振り、泡を飲んで床にこぼれないようにした。「Graham。」

「ごめん。」Grahamはすかさずそう言うと、床にビールを吐き出した。

Damonは友人関係において"父親"のように振る舞ってしまうという。「僕の方が彼に頼ってるっていうのに、いつも彼の兄貴みたいに感じるんだ。」DamonのGrahamへの保護者意識から起こる問題の中でも、最もパワフルなのはガールフレンドの件だ。

「いつだって僕のガールフレンドを気に入らないんだ。」とGrahamはすねる。

「それは違うよ。僕はちゃんとしてて欲しいだけなんだ。だから僕は彼が熱を上げてる人にそんな風に接するんだ。僕が僕の妹にするみたいにね。」

Damonのガールフレンド・ElasticaのJustineと、彼女の親友でありGrahamの元ガールフレンドでもあるJane Oliverの、微妙な話題になった。Janeの話が出ると、Grahamはインタビューを中断してタバコをくれと言った。

Damonがひやかした。「こいつはタバコ無しじゃいられないんだよ!」

卒業後、GrahamはGoldsmith'sでアートを学んだ。Damonは演劇学校へ通いながら、同じ学校の定時制コースへも通った。それが、Blurが結成された1989年の出来事だ。

「友達になって、いま僕らがこうしているなんて、可笑しいよな…」とDamonは熟考する。

「もう親友じゃないみたいだ。」

「親友を超えたよ。兄弟の仲以上だ。」Grahamは物思わしげに同意した。

「Grahamと僕はもう一緒に出かけたりしない。お互い話もしないよな?そういうのはもう通りすぎた。2人ともグループの外に別の友達がいるし、夜の過ごし方のアイデアも違うんだ。僕は料理をしてサッカーを見るのが好きで、彼はパブに行くのが好きなんだ!」

お互い、愛してる?

「もちろん。」とGrahamは言う。

Damon「疑う余地もないね。僕達はいつも友達だよ。僕はお互いよぼよぼの年寄りみたいに相手にするのが気に入ってるんだ。」

Graham「そう」

Damon「そこに到達するのが重要だ、って事。だろ?

Graham「そう。待ち切れないよ。」

Damon「彼は待てないよ…」


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